脱炭素計画変更を報告 MG構築、知名中と和泊小、新庁舎周辺へ ゼロカーボンアイランドおきのえらぶ推進協

2023年08月26日

政治・行政

当初計画の変更点などが説明されたゼロカーボンアイランドおきのえらぶ推進協議会第3回会合=24日、知名町

【沖永良部総局】ゼロカーボンアイランドおきのえらぶ推進協議会(会長・今井力夫知名町長)の第3回会合は24日、知名町フローラル館であった。事務局が脱炭素先行地域計画提案書の変更を報告。エネルギーを地産地消する仕組み「マイクログリッド(MG)」の構築地区を2カ所変更するほか、太陽光発電導入量を当初計画の約65%となる5200キロワットにした。太陽光発電装置を設置する公共施設数は59から26に減らした。

 

同計画をめぐっては、再生可能エネルギー導入に当たり、内燃力発電所が運転を継続するために一定値以上の発電出力を維持しなければならない「下げ代制約」などさまざまな課題が判明し、見直し案が検討されていた。

 

MG構築は当初、知名町新庁舎周辺、同町久志検地区周辺、和泊町国頭地区周辺を計画。久志検地区は浄水場の統廃合により、電力需要が大きく減る見込みがあり、国頭地区は県がエネルギーをシェアするまちづくり事業を通じて同地区内にある空港の脱炭素化を検討していることを理由にそれぞれ変更対象となった。変更地区は自治体と民間企業で協議の上、避難所の場所、規模などを踏まえて知名中学校と和泊小学校両周辺とした。

 

太陽光発電装置設置箇所は現地調査の結果、施設の耐震性や屋根形状に課題のある施設が半数以上あることが判明。農地の上部空間に太陽光発電装置を設置し、農業を営みながら太陽光発電を行うソーラーシェアリング導入も視野に検討を進めるとした。

 

出席した環境省の担当者は住民との合意形成や事業を継続できる体制確保の重要性を強調し、「脱炭素先行地域で計画を変更した一番最初の地域。先行して課題にぶつかった自治体として、どんな壁があってどう乗り越えたのか、可能な範囲で情報公開を」と助言。学識経験者は「ほかの先行地域にとっても重要な課題が提案されたとみている」などと意見を述べた。

 

協議会は、和泊、知名両町が環境省の「脱炭素先行地域」に選定されたことを受け、推進組織として2022年10月に発足。この日はリモートも含め、両町、県、環境省、共同提案者の各法人、関係民間企業、学識経験者など55人が参加した。